宇宙的にみると地球はどのくらいの速さで宇宙を移動しているの?

地球が宇宙を移動している速度は、どの基準で見るかによって大きく異なります。

主な移動速度をいくつか挙げると以下のようになります。

  1. 地球の自転速度: 赤道上では、地球は時速約1,670 kmで自転しています。これは秒速にすると約0.46 km/sです。

  2. 地球の公転速度(太陽の周り): 地球は太陽の周りを約1年かけて公転しており、その速度は時速約10万7,000 km(秒速約30 km)です。

  3. 太陽系の銀河系内での移動速度: 私たちの太陽系は、天の川銀河の中心を周回しています。その速度は時速約83万 km(秒速約230 km)とされています。太陽系が銀河系を一周するのには約2億3千万年かかると言われています。

  4. 銀河系(天の川銀河)自体の移動速度: 天の川銀河自体も、宇宙の中で移動しています。この速度は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)という宇宙最古の光を基準にすると、秒速約370 km(時速約133万 km)とされています。他の銀河との相互作用なども含めると、さらに速い速度で移動しているという推定もあります(例えば、局所銀河群全体としてグレートアトラクターと呼ばれる重力源に向かって時速約216万kmで引き寄せられているという説もあります)。

これらの動きはすべて同時に起こっているため、地球は非常に複雑な経路をものすごい速さで移動していることになります。私たちがその速度を感じないのは、地球上のすべてが同じ速度で動いているため、相対的な速度変化がないからです。まるで高速で移動する飛行機の中にいるような感覚に似ています。

秒速600kmと聞いたことがあるが?

秒速600kmという速度は、天の川銀河(私たちの銀河系)自体が宇宙空間を移動している速度としてよく言及されます。

これは、前回の回答で触れた「銀河系(天の川銀河)自体の移動速度」に該当します。この速度は、特に宇宙マイクロ波背景放射(CMB)という、宇宙誕生直後の光を基準とした場合の速度として導き出されます。

宇宙マイクロ波背景放射は、宇宙のあらゆる方向からほぼ均等にやってくる光であり、これに対して私たちの銀河系がどの方向にどれくらいの速度で動いているか、という相対速度を測ることができます。その結果、おおよそ秒速370kmから秒速600kmといった値が示されることがあります。

より具体的には、天の川銀河が属する「局所銀河群」や、さらに大きな構造である「おとめ座超銀河団」といった単位で、全体としてグレートアトラクターと呼ばれる巨大な重力源に向かって移動している、という考え方があり、その移動速度が秒速数百kmに達すると言われています。

つまり、地球は

  1. 自転し(秒速約0.46km)
  2. 太陽の周りを公転し(秒速約30km)
  3. 太陽系は天の川銀河の中心を周回し(秒速約230km)
  4. そして、その天の川銀河自体が、宇宙の広大な空間を秒速約600kmという猛烈な速度で移動している

という、非常に複雑かつ高速な運動をしています。秒速600kmというのは、この最も大きなスケールでの移動速度として認識されているものです。


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